1.ピンホールカメラってなに?

ピンホールカメラはカメラの中でも、あらゆる付加価値を取り除いた、単純で基本的な構造をしたカメラです。カメラの語源となっている「カメラオブスキュラ」は、暗い部屋と言う意味で、暗い部屋の壁に小さな穴を開け、向い側の壁に写る外の景色に、昔の画家達はトレースをしていました。この「暗い部屋」を小さな箱にしたのがピンホールカメラなのです。
ピンホールカメラには、レンズを使用しない代わりに、光を通す非常に小さな穴(ピンホール)をレンズの代わりにします。ピンホールカメラは、その小さな穴から被写体の光を受け入れて箱の中に像を写し出し、フイルムに焼き込むという仕組みになっています。


2.ピンホールカメラの焦点距離

ピンホールカメラは、被写界震度が非常に深く、パンフォーカス(すべてにピントが合う)の常焦点になっています。ですから、フイルムから50mmの距離にピンホールを持ってくれば、焦点距離50mmの画角に、100mmの所にピンホールを持ってくれば、焦点距離100mmの画角になります。つまり、ピンホールカメラはフイルムとピンホールの距離を自由に変え、好みの画角に設定する事が出来るのです。


3.ピンホールカメラの画角

手作りピンホールカメラを制作するにあたって、まず最初に決める事は、画角と焦点距離です。制作前に気になる事の一つは、ピンホールカメラの画角だと思います。画角を知るには、使用するフイルムサイズの最も長い寸法とピンホールからフイルムまでの距離(焦点距離)をフイルムの端からピンホールで交差するように線を引いたとき出来る角度が、そのカメラの画角になります。画角はピンホールからフイルムまでの距離が短いと広角側に、長いと望遠側になります。






今回、制作するピンホールカメラは4×5フイルムを使用します。そこで4×5フイルムサイズの画角を下の表にまとめました。この表で35mmカメラの画角に、おおよそ換算する事が出来ます。画角決定の参考にして下さい。



フイルム判と焦点距離の関係
種類
画角
35mm判
6×7判
4×5判
超広角 110〜90° 12〜22mm 30〜42mm 50〜70mm
広角 89〜72° 23〜29mm 43〜55mm 71〜95mm
準広角 71〜60° 30〜40mm 56〜75mm 96〜127mm
標準 59〜47° 41〜55mm 76〜109mm 128〜164mm
準望遠 46〜26° 56〜90mm 110〜175mm 165〜305mm
望遠 25〜15° 91〜175mm 176〜349mm 306〜550mm
超望遠 14〜6° 176〜500mm 350〜800mm 551〜1250mm




4.ピンホールの最適直径

ピンホールカメラは、前項でも書いた通り、焦点距離、画角の設定は自由なのですが、ある制限があって、焦点距離を決定すると、ピンホールの最適直径が決まります。ピンホールの特性として、穴の直径が小さい程、より鮮明な画像を得る事が出来ます。しかし、穴の直径が0.2mm以下になると光の回折現象が起り、画質が低下します。また、ピンホールのF値が250以上でないと鮮明な画像が得られないと言われています。つまりピンホールは、大きすぎても、小さすぎても鮮明な画像にはならないと言う事です。ですから、焦点距離を決定するポイントとして、ピンホールに適した直径の範囲内で、好みの焦点距離を決める事になります。下の表は各々の焦点距離とその最適直径を表にしたものです。



焦点距離とその最適直径

焦点距離
最適直径
F値
35mm
0.21mm
166
50mm
0.25mm
200
60mm
0.27mm
222
70mm
0.30mm
233
100mm
0.36mm
277
135mm
0.41mm
329
160mm
0.45mm
355
180mm
0.48mm
375
200mm
0.50mm
400


最適直径の求め方
最適直径=0.036√(焦点距離(mm))

例)焦点距離が180mmの場合。
√180mm=13.416407
13.416407×0.036=0.4829906
最適直径は0.48mm



5.ピンホールF値の求め方

ピンホールカメラの焦点距離を決めて、ピンホールの直径が分かれば、F値を求める事が出来ます。F値は露光時間を決定する上で重要な数値ですので、求めておく必要があります。数値を求める方法は、下記の通りです。



ピンホールF値の求め方
f=焦点距離(mm)÷ピンホールの直径(mm)

例)焦点距離が180mmの場合。
180mm÷0.48mm=375
F値は375


上記の例の様に、焦点距離が180mm、ピンホールの直径0.48mmの場合、F値は375と出ました。これをF値の数列に当てはめますと、最も近いF値は362ですので、焦点距離180mmのピンホールカメラのF値は362で計算する事になります。下の表はF値の数列を表したものです。計算して割り出したF値を、最も近い数列に当てはめて下さい。



F値の数列
平方根
F値
√1
f1
√2
f1.4
√4
f2
√8
f2.8
√16
f4
√32
f5.6
√64
f8
√128
f11
√256
f16
√512
f22
√1024
f32
√2048
f45
√4096
f64
√8192
f90
√16384
f128
√32768
f181
√65536
f256
√131072
f362
√262144
f512




次の章は、ピンホールカメラの制作に入ります。

   
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